それから数日後、まほう使いは猫に変身してうろうろしていました。
公園のベンチの後ろを通りかかったとき、
そこに2人の女性がこしかけていたので、ベンチを消して
おどかそうとすると、
「そうそう例の笛しょくにんの話知ってる?」
と1人の女性が話すのが聞こえたので、
ベンチを消すのをやめました。
「えっ何のこと?」
「知らないの?」
「ええ。」
「最近この町にこしてきたんだけど、すばらしい笛を作るそうよ。
その音色はとても美しく、心が洗われ、
涙が出てくるほどらしいのよ。」
「へえー、知らなかった。そんな人がこの町に来たなんて。
ぜひその笛の音を聞いてみたいな。」
「それがたまたま笛を作ってもらいに行った人が、どんな音か聞きたい
と言ったらその笛職人が短い曲をふいてくれたらしいんだけど、
他にはまだ誰も聞いたことがないんだって。
それでもその音があまりにすばらしいので、
すぐにうわさが広まったというわけ。」
「そうか。私も笛作ってもらおうかな。」
まほう使いはこの笛がどんな笛か知りたくなりました。
そして笛の話が終わったので、ベンチを消しました。
2人の女性はひめいを上げしりもちをつきました。


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