パグのおばあさん
その3 それから何日かたったある日、ケイタが外へ遊びにでる と、コウスケがおばあさんの家の垣根のところから 「ケイタ、こっち」と言って呼んだ。 ケイタが急いでかけていくと、 「ほら、見てみ」とコウスケが中をゆびさした。 垣根の間から、庭と縁側が見える。 おばあさんはトランプを縁側にならべ、 なにやら考えている様子だ。 パグはトランプを一枚くわえ、首をかしげている。 「ほんまや、トランプしてるわ」 「そやろ。ほんまやろ。」 二人はそのちょっと変った光景をしばらくながめていた。 すると急におばあさんが顔をあげ二人の方を見た。 二人は「あっ」と思ったが、そのままじっとしていた。 おばあさんはじーっと二人を見すえ、それから言った。 「ちょっとこっちおいで」 二人はまだじっとしていた。 「おいで、おいで」おばあさんは手まねきしてまた言った。 二人は顔を見合わせ、それから コウスケが「行こか」と言い、ケイタが「うん」と言った。 そして二人は垣根づたいに歩き、 庭に入る木のとびらまで行くと、 とびらをあけ、中に入った。 |