パグのおばあさん

その7

ある日、ケイタはごはんを食べながらおかあさんに言った。
「パグのおばあさんいるやろ。いっつもおれのこと
ショウちゃんて言うねん。」
「へぇー」と言ってからおかあさんは少し何か考えているようだった。
「もしかして、ショウちゃんていう息子がいたんかなあ。
ほんで、あんたがショウちゃんに似てるんちゃう?」
「えっ!死んでしもたん?」
「いやあ、それはわからへんけど。
息子さんみたいな人見たことないし。」
「息子なんかいいひんのちゃう。」
ケイタはそう思った。
「まあ、わからんけどな。聞かれへんしな、そんなこと。」
おかあさんが言った。
ケイタは「ショウちゃん」と言ってるおばあさんを思い出していた。

その夜、ケイタはふとんの中で色々考えた。
やっぱり息子がいて、小さい時に死んだんやろか?
それとも大人になってからやろか?
もし、そうやったらなんで死んだんやろ?
病気かな、事故かな?
どっちでもかわいそうやな。
それであんなむすっとした顔してるんやろか?
つぎつぎといろんなことが頭にうかんできたけど
そのうちねむってしまった。

 


その6 その8