こんなまちがあったらな

あるところにフータというくまの子がおとうさん、おかあさんとくらしていました。
フータは外であそぶのが大好きなのですが、
家のまわりは車がしょっちゅう行ききしていて とてもきけんです。

ある日、ばんごはんを食べたあとフータが言いました。
「今日、家のまえであそんでいたら トラックがすごいスピードでやってきたんだよ。 あわててにげようとして、ころびそうになっちゃった。」
おとうさんとおかあさんは かおをくもらせます。
「ほんとうにあぶないわね。 ちかくに広いこうえんがあれば もっとのびのびあそべるのにね。」
とおかあさんが言います。
「まえまえから考えていたんだけどね……」とおとうさんが話しはじめます。
「こんなまちがあったらいいなって思っているんだ。」
フータは身をのりだしてききます。
「どんなまち?」
「それはね……」

まず、なんといっても
みんながあんしんして
たのしく くらせるまち。

あんしんして
道を歩いたり、
家の前であそんだり
できるようにするには、
ちょっとだいたんな考えなんだけど、
こうつうきかんをせいびし
地下てつやでんきバスを
りようするようにして
車はまちの中では
のれないようにする。

たとえば、このまちに
引っこすとすると、
大きなにもつをはこべる
地下てつをりようする。
それからでんきバスで
引っぱってもらうんだ。

とちゅうででんきバスから
ゆっくりだけどパワーのある
けんいん車にのりかえて家まで行くんだ。

家のまわりは車が
走っていないから
空気がきれいだし、
前の道でもあんしんして
あそべるよ。

おもいにもつだって、
こんな所にすめるなら、
はりきって
はこべそうだろ?

家の中は
日あたりもよく、
木のいいかおりが
するんだ。

さあ、外へあそびに
行くところをそうぞうしてみて。
たくさんの子どもたちが、
いろんなことをしてあそんでいるよ。

いつも外であそんでいる子どもたちは、
新しく引っこしてきた子にもすぐ気がついて
話しかけてくるよ。

「どこから来たの?」
「名まえは?」
っていうかんじでね。

学校は木ぞうがいいね。
今ごろめずらしいからね。
あたたかいかんじが
するだろ?

おつかいだって、
こんなまちなら
あんしんして行けるね。
いろんなお店が
あつまっている
ひろばの向こうには
こうえんがあるんだ。

みどりがいっぱいの
広いこうえんがあれば
子どもはめいっぱい
走り回ってあそべるし、
大人だってのびのびした気分になれる。

いっぱいあそんで、
まんぞくして、
明日のやくそくをして
家へかえるんだ。

「これでおとうさんのくうそう話はおわり。」
「えー!」
「おっと、がっかりしないで。こんなまちはないかもしれないけど、フータのためにここよりずっとあんしんしてあそべるところへ引っこそうとかんがえているんだ。」
「ほんと?」
「うん。きっと見つけるからもうちょっとまってくれる?」

さあ、いいゆめをみてね、フータ。
おやすみ。