まほう使いはさっそく外へ出ると空を見上げ言いました。 「さあ雨雲よ出てこい!どんどんえんりょせずに出てこい! 町をすっぽりおおうのだ!」 すると本当に町の上に雨雲が出てきました。 少しずつ青空をかくしていきます。 「その調子だ!さあもっともっと。」 そしてぶるぶるぶるぶるぶるっと頭を5回振りました。 するとまほう使いの耳が5倍の大きさになり、 ぱらぱら町に雨が降り始めるのが、聞こえてきました。 まほう使いはまんぞくそうに、にやにや笑っています。 雨はどんどん強くなってきます。 「うわっはっはっは、ざまあみろ!」 町では、走って家に帰る人、雨やどりをする人、 せんたく物を入れる人、かさを持ってむかえに行く人、 みんなあわただしく動いています。 だれもがまさかまほう使いのせいだとは思いもしないで。 ところが1日たち、2日たち、3日たっても 雨は全然やむ気配がありません。 まほう使いがのぞんでいたように、 町の人たちの生活に悪いえいきょうが出はじめました。 みぞから水があふれ、道路に水がたまりだしています。 まほう使いは森の中の高い木の上からその様子を見て、 「ああ面白いながめだ。」と冷たく言います。 雨がふり出して4日目、まほう使いはまた高い木の上にのぼり、 町の様子をうかがいます。 町の人たちは川ぞいに土のうをつんだり、 げんかんに入ってくる水をかきだしたりしていますが、 川の水はかなりましていて、 このままいけば洪水になってしまいそうです。 |