パグのおばあさん

その4

庭には真ん中に大きな木があり、そのまわりにたくさんの植物が植えてある。
奥に物置があり、そのまわりに見たこともないような古い自転車、車のタイヤ、丸太などかわったものが
おいてある。二人は縁側に近づいた。パグはまだトランプをくわえている。
おばあさんは最初コウスケとケイタをかわるがわる見ていたが、そのうちケイタをじーっと見つめた。
「ショウちゃんか?」おばあさんが言った。
「ショウちゃん?ちゃうで、おれケイタやで。」
「ちゃうって、ショウちゃんやて。」
「ちがう、ケイタや。」ケイタはどうしたらわかってもらえるだろうと困ってしまった。
「おばあちゃん、こいつケイタってゆうねん。」コウスケがおうえんしてくれた。
でもおばあさんはむきになった。パグに似た顔が少しけわしくなった。
「なにゆうてんの、ショウちゃんやんか。」
パグは三人のやりとりをおとなしくじーっと見ていた。


その3 その5