あくる日、まほう使いは普通の人のようにさりげなく
笛しょくにんの家をたずねていきました。
「笛を作ってほしいんだが、お願いできるかな。」
まほう使いはなるべくていねいに言いました。
「いいですよ。」
笛しょくにんはこころよく仕事を引き受けました。
「1週間後にとりに来てください。」
まほう使いはきげんよく帰っていきました。
笛をとりにいくまでの1週間の間、まほう使いはあい変わらず
町の人を困らせるようなことばかりしていました。

1週間後、まほう使いは笛をとりに笛しょくにんをたずねました。
笛は木ぼりで特に変わっているようには見えません。
「きれいな音を出すにはコツがあるんですが・・・。」
と笛しょくんが言いかけると、
「ああ大しょうぶだよ。そんなことは簡単さ。」
そう言って、まほう使いはお金を払うと帰っていきました。
それからしばらくして、笛しょくにんは受け取ったお金が
紙切れに変わっていることに気づきました。
笛しょくにんは一度ため息をついて、
またすぐにとなり町から受けた注文の笛を作り始めました。


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